
災害で停電したとき、どうやって電気や冷暖房を確保するか。
候補には、さまざまな技術があります。
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電気自動車から建物へ給電するV2H
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電気自動車と電力網をつなぐV2G
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地域内で電力を融通するマイクログリッド
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熱や冷気を蓄えて後から使う蓄熱・蓄冷
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通信インフラが止まっても端末同士をつなぐメッシュ通信
では、どの技術が最も実用に近いのでしょうか。
論文が多い技術でしょうか。特許が多い技術でしょうか。それとも、オープンソースの実装が活発な技術でしょうか。
そこで、4つの技術を5つの異なる信号から調べました。
5つのデータベースで数えてみた
2026年8月2日時点のAI調査では、次の結果になりました。

取得元はOpenAlex、GitHub API、EPO OPS、SEC EDGARです。
ただし、これらは同じものを数えた数字ではありません。
論文は研究活動、GitHubは公開されたソフトウェア、特許は権利化、SECの文書は企業による言及を表します。
技術が「研究→OSS→特許→企業開示→実需」の順に進むとは限りません。特許が論文より先に出ることもあれば、企業が技術名を公表せずに事業化することもあります。
したがって、この5つは成熟度の階段ではなく、技術を違う方向から見る「観測信号」です。
2,436件と106件。多いほうが活発なのか
GitHubでmicrogridを検索すると、2,436件のリポジトリが見つかりました。
一方、V2G/V2H関連の検索結果は106件でした。
件数だけを見れば、マイクログリッドにはV2G/V2Hの約23倍の公開実装があるように見えます。
ところが、検索結果の上位を確認すると、別の様子が見えてきました。
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マイクログリッド検索で最も星の多かったリポジトリ:704スター、最終更新2023年10月
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V2G検索で最も星の多かったリポジトリ:124スター、最終更新2026年7月31日
マイクログリッドのほうが検索結果は多い一方、上位の一例ではV2G側のほうが最近更新されていました。
ただし、ここから「マイクログリッドの開発は止まり、V2Gのほうが生きている」とは言えません。
見たのは、それぞれの検索結果で最上位になった1件だけだからです。
また、GitHubのスターは利用者がリポジトリをブックマークした数であり、導入数や稼働数ではありません。GitHubのスターに関する説明
分かったのは、リポジトリの総数と、現在の開発活動は別の指標だということです。
技術全体の動きを見るには、上位1件では足りない
オープンソースの活動状況を調べるなら、少なくとも次の情報が必要です。
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上位10~20件の最終更新日
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直近90日または1年間のコミット数
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活動中のコントリビューター数
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未解決IssueとPull Requestの動き
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リリースの有無
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フォークや学習用コピーの除外
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実際に導入されている事例
特にpushed_atは、リポジトリへ最後に何らかの更新が送信された日時です。製品が使われた日時でも、利用者が増えた日時でもありません。
更新が止まっているように見えても、ソフトウェアが完成して安定運用されている可能性があります。逆に、更新が多くても、実験段階で仕様が安定していない可能性があります。
「最終更新が新しい=成熟している」とも限らないのです。
実装コミュニティは、別の言葉に集まっていた
今回の調査で興味深かったのは、マイクログリッドの実装が、必ずしもmicrogridという名前で公開されていなかったことです。
例えばOpenEMSは、再生可能エネルギー、蓄電池、電力網、需要設備を統合制御するオープンソースのエネルギー管理システムです。OpenEMS公式サイト
OpenEMSはマイクログリッド専用ではありません。蓄電池、太陽光、電気自動車、ヒートポンプなどを管理する、より広いEMSの基盤です。
つまり、microgridだけを検索していると、実際の制御ソフトウェアが集まるenergy management systemという領域を見落とす可能性があります。
検索語は、技術の名前だけでなく、技術が実装される「機能の名前」まで広げる必要があります。
蓄熱・蓄冷と「災害」の交差は、本当にゼロなのか
当初の検索では、蓄熱・蓄冷と災害を組み合わせた結果が、論文でも特許でも0件になりました。
検索条件論文特許蓄熱・蓄冷 × disaster00蓄熱・蓄冷 × emergency19蓄熱・蓄冷 × resilience3未掲載
この数字だけを見ると、「蓄熱・蓄冷は災害対策として研究されていない」と考えたくなります。
しかし、一次情報を調べると、この結論は誤りでした。
米国エネルギー省は、停電時にも長時間の冷房を提供する氷蓄熱技術を支援しています。紹介されている研究では、少量の非常用電力と組み合わせて、停電中に12時間の冷房を提供することが目標とされています。米国エネルギー省のプロジェクト
同省の蓄熱プログラムも、蓄熱を建物とエネルギーシステムのレジリエンスに役立つ技術として位置づけています。米国エネルギー省「Thermal Energy Storage」
つまり、「該当研究がない」のではありません。
研究者や政策機関が、disasterよりも次のような言葉を使っていた可能性があります。
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resilience
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power outage
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critical load
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resilient cooling
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extreme weather
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backup cooling
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critical facility
ゼロ件は市場の空白ではなく、検索語の空白だったのです。
蓄熱と蓄電池は、同じ「蓄える」でも別の技術
元の調査では、蓄熱・蓄冷の市場性を説明するため、日本の蓄電池出荷額を参照していました。
2021年の経済センサスによると、リチウムイオン蓄電池、アルカリ蓄電池、鉛蓄電池の出荷額は、合計で約1.05兆円でした。
しかし、この数字を蓄熱・蓄冷の市場規模として使うことはできません。
蓄電池は電気エネルギーを化学的に蓄える装置です。蓄熱・蓄冷は、熱や冷気を水、氷、相変化材料などに蓄える技術です。
「エネルギーを蓄える」という役割は似ていますが、製品、製造工程、企業、規制、用途は異なります。
蓄電池の出荷額は電力レジリエンスの周辺情報にはなりますが、蓄熱・蓄冷市場の存在を証明する数字ではありません。
この統計は、今回の蓄熱・蓄冷の評価から外すのが適切です。
特許が多ければ「権利で押さえられた技術」なのか
V2G/V2Hでは、GitHubの検索結果106件に対し、特許検索結果は3,798件でした。
元の原稿では、この約36対1という差から「権利で押さえられた技術」と判断していました。
しかし、GitHubリポジトリと特許ファミリーは、単位も対象も違います。
特許には、充放電制御、電力変換、認証、料金計算、通信、バッテリー保護など、さまざまな発明が含まれます。一方、1つのGitHubリポジトリが複数の機能を実装していることもあります。
したがって、件数を直接割っても、技術が閉じているか開いているかは分かりません。
権利化の状況を判断するには、少なくとも次の確認が必要です。
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どの技術要素に出願が集中しているか
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権利が現在も有効か
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上位出願人に偏りがあるか
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標準必須特許が含まれるか
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オープンソース実装のライセンスは何か
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特許とOSSが同じ技術範囲を扱っているか
特許件数は競争状況を調べる入口ですが、「後発は参入できない」という結論そのものではありません。
5つの信号から何を判断するのか
成熟度を1つの点数で表す代わりに、技術ごとに5つの問いを立てます。
信号確認すること研究何が研究課題になっているか。論文数は増えているか公開実装再現可能な実装があるか。開発は継続しているか特許どの技術要素を、誰が権利化しているか企業開示企業が機会、リスク、投資をどう説明しているか実需実際の導入台数、設備容量、受注額、稼働実績があるか
大切なのは、異なる列の数字を直接割ることではありません。
同じ指標を、同じ検索条件で継続的に測ることです。
例えば、特許3,798件とGitHub106件を比較するより、V2G関連特許の年間出願数がどう変化しているかを見るほうが意味があります。
GitHubでも、総数ではなく「直近1年間に更新された関連リポジトリの割合」を測るべきです。
災害時エネルギーを調べる6つの手順
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解きたい課題を定義する
停電時の電力確保なのか、避難所の冷暖房なのか、通信維持なのかを分けます。 -
技術名と機能名を分ける
microgridだけでなく、energy management system、islanding、critical loadなども確認します。 -
災害を表す言葉を広げる
disasterだけでなく、resilience、outage、emergency、extreme weatherなどを使います。 -
検索結果の中身を読む
上位20~50件を確認し、無関係な結果や重複がどの程度含まれるかを調べます。 -
活動状況は複数の指標で見る
最終更新日だけでなく、コミット、リリース、Issue、Pull Request、導入事例を確認します。 -
最後に技術的な成立性を確かめる
必要な電力・熱量、保持時間、設備規模、初期費用、保守体制を現場条件と照合します。
「空白」を見つけたときの3つの可能性
検索結果が少ないとき、考えられる理由は少なくとも3つあります。
1.需要がない
解決しようとしている課題が小さい、または既存技術で十分に解決されている場合です。
2.別の言葉で研究・事業化されている
今回の蓄熱・蓄冷がこれに当たります。
disasterでは見つかりませんでしたが、resilient coolingやpower outageでは関連する取り組みが確認できました。
3.技術的・経済的に成立しにくい
蓄冷であれば、必要な冷熱量、保存時間、設備の大きさ、断熱性能、ポンプを動かす非常用電力などが制約になります。
検索結果が少ない理由が、技術的な難しさにある可能性もあります。
したがって、「誰もやっていないから機会だ」と判断する前に、この3つを順番に確認する必要があります。
現時点で分かったこと
今回の調査から、4つの技術の優劣を決めることはできませんでした。
しかし、調べ方については、いくつか明確なことが分かりました。
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リポジトリ総数は、現在の開発活動を表さない
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最上位1件の更新日も、技術全体の生死を表さない
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技術名だけでは、実装コミュニティを見落とす
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特許件数とOSS件数の比から、参入可能性は判断できない
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企業開示の件数は、市場規模や導入数ではない
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0件は、検索語が合っていない可能性を含む
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蓄熱と蓄電池は別の市場として扱う必要がある
災害時エネルギーを考えるとき、本当に重要なのは論文や特許の総数ではありません。
停電した場所で、何時間、どの設備を動かせるのか。
平常時にも使えるのか。
誰が保守し、いくらで導入できるのか。
既存の電力設備や通信設備と接続できるのか。
最終的には、こうした現場条件に答えられる技術が残ります。
数字は、答えではなく質問を見つける道具
マイクログリッドは、主電力網から切り離して自立運転できるため、停電時のレジリエンスを高める技術として位置づけられています。米国エネルギー省の解説
蓄熱・蓄冷にも、停電時の冷房を維持する具体的な研究があります。
V2G/V2Hには、車載電池という分散した資源を利用できる可能性があります。
それぞれに強みがあり、必要な設備や解決できる課題が異なります。
5つのデータベースを数える目的は、1位を決めることではありません。
どこまでは分かり、次に何を調べる必要があるのかを明確にすること。
数字が少ない場所を見つけたら、すぐに空白市場とは呼ばない。
数字が多い場所を見つけても、成熟市場とは決めつけない。
その慎重さが、技術調査を事業判断につなげるための出発点です。
※検索件数は、特記のない限り2026年8月2日時点の当社測定値です。検索語、分類、データベースの更新によって変化します。
※SEC EDGARの検索結果は、企業数、導入数、市場規模を示すものではありません。事業機会、リスク、規制対応などの言及を含みます。
※特許件数は検索条件とファミリーの定義によって変化します。権利の有効性、範囲、侵害の有無は検討していません。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定企業や金融商品の評価・推奨を行うものではありません。
本記事はAIを制作補助に使用し、調査内容を確認したうえで作成しています。
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